児童ポルノ画像を送らせた場合(セクスティング)

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児童ポルノ写真を自分撮りさせ送らせた行為について

児童ポルノ法7条3項には製造罪が定められています。

立法当初は、写真・ビデオ等での撮影を予定していたものと思われます。しかし、近年ではスマートフォン等の通信機器が進化しています。そのため、ネット環境を利用し、わいせつな自分撮り写真を求め、これに応じて児童が写真撮影し送信した場合も製造罪にあたる可能性があります。

第7条3項
前項に規定するもののほか、児童に第2条第3項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第1項と同様とする。

違反の場合 三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金

児童ポルノ法7条3項の「製造」とは

児童ポルノを作成することです。手段として「2条3項各号のいずれかに揚げる姿態をとらせ」との要件があります。例えば、児童にポーズ等の指示をして写真、ビデオ等による撮影が考えられます。

その他、児童にわいせつな写真を撮るように指示し、それをメール等で送信する行為(セクスティング(Sexting))なども対象になると考えられます。

第2条3項各号の姿態とは
一  児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
二  他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
三  衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの

児童の承諾があった場合

3項製造罪の保護法益は、児童の尊厳であることから、児童の承諾があっても特段の事情がない限り、違法性阻却されないと考えられます。このことにつき、5項製造罪の事件でありますが、違法性阻却されないとして裁判例があります。

東京高裁 平成22年 3月23日
しかしながら,たとえ描写される児童が当該児童ポルノの製造につき同意していたとしても,その製造により当該児童の尊厳が害されることは否定できず,さらに,もともと同法は,児童の保護のみならず,児童を性的対象とする風潮が助長されることを防止し,ひいては,児童一般を保護することをも目的とするものであることからすると,児童ポルノの製造につき描写される児童が同意していたとしても,特段の事情のない限り,その行為の違法性が阻却されるものではないと解されるところ,関係証拠によれば,本件は,被告人が,児童ポルノを不特定又は多数の者に有償販売して利益を得ることを目的として敢行したものであることは明らかであり,本件において,そうした特段の事情は全くうかがえない。したがって,被害児童が本件児童ポルノの製造につき同意していたとしても,被害児童に係る児童ポルノを製造したことにつき違法性が阻却される余地はなく,この点の弁護人の主張も採用することはできない。

セクスティング行為を考える

私見ではありますが、セクスティング行為については別途条項を定めて、法定刑を下げて規制すべきではないかと思います。理由としては、立法当初はこのような行為はあまり想定されていなかったと考えられるからです。また、形式的に適用すれば、18歳未満の交際中の児童同士が写真をわいせつな自分撮り写真を交際相手に送信することも該当するのではないかとも考えられます。現在、児童ポルノ法の改正の話が出ているようですが、どのように改正されていくのか注目したいと思います。

児童ポルノ法違反の相談

当事務所では、児童ポルノ法に関する刑事事件の相談をお聞きしております。在宅被疑事件として捜査が行われている場合、精神的に不安定な日々が続くと思われます。そのようなときは、弁護人が悩みをお聞きし、情状弁護活動に尽力いたします。