保釈金について(相場、金額など)

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保釈請求|身体拘束からの解放

逮捕、勾留をされると長時間の身体拘束が継続する可能性があります。

そこで、少しでも早く身体拘束からの解放をするため各種の刑事弁護活動をします。

具体的には、勾留に対する準抗告、起訴猶予処分の獲得を目的とした弁護活動、保釈請求などです。

逮捕・勾留後の流れ

保釈請求

被疑者が起訴後勾留されている場合、保釈請求(刑訴法88条)をすることができます。保釈請求は、起訴前にはできず、起訴後の勾留に対してすることができます。

保釈請求が認められた場合、一定の保証金の納付を条件として勾留の執行が停止され、拘禁状態から解かれることになります。

保釈には、必要的保釈(89)、裁量保釈(90)等があります。

保釈金を納付しても、保釈条件に違反しなければ保釈金は返還されます。

これは実刑判決を受けた場合であってもかわりません。

具体的な弁護活動 起訴後に請求が認められる事案であれば保釈請求をします。また、保釈が認められなくても後日に再度保釈請求をすることもできます。例えば、保釈請求が却下された場合でも、被害者証人の尋問手続が終了したり、重要な証拠調べがすべて終了したようなときには、事案により再度保釈請求をすれば保釈が認められるケースもあり得ます。

保釈請求の際には、身元引受人を準備しておくことが必要です。

例えば、親、兄弟、その他親族等が考えられます。

保釈金の相場・金額は?

保釈金の金額は、事件の性質、被告人の資力等により決せられますが、150~250万円位になるケースが多いのではないかと思われます。もちろん犯罪の性質、被告人の経済的状況によっては、さらに高額の保釈金が必要となる場合もあります。

とはいえ、一度に100万円単位の高額の保釈金を準備するのは大変です。

そのような場合には、保釈保証金の立替制度があります。これは、保釈金を準備することができない場合、保釈保証金の立替を受けることができるというサービスです。もっとも、立替してもらったお金については後日返還しなければならず、立替期間に応じた手数料が必要となります。すなわち、当該手数料部分については自腹で負担しなければなりません。

保釈中の実刑判決

保釈中に第1審で禁固以上の刑に処する判決の宣告をうけた場合、保釈は効力を失います(343)。

そして、その場で収容の手続を取られることになります。したがって、保釈中であっても実刑判決を受ける可能性がある場合には、期日に着替え等の手荷物を持参して、万一の場合の準備をしておく必要があります。

再保釈の請求

再保釈には、必要的保釈の規定(344)の適用はありません。

保釈の許可は、裁判所の裁量に委ねられています。1審で実刑判決が出ている場合、刑の執行の確保、逃走の防止の観点からより厳格に保釈の可否についての判断がされます。

再保釈の金額は、第1審の保釈金より増額されることが予想されます。

保釈請求以外の身体拘束からの解放のための活動

保釈請求が認められれば、身体拘束から解放されることになりますが、その他にも準抗告等の手続があります。すなわち、保釈は起訴後にしか請求できないのですが、準抗告は逮捕・勾留段階でも行うことができます。

準抗告について

勾留に対する準抗告

勾留により10日間身体拘束されることになります。

さらに勾留延長がされると、さらに10日勾留され、合計20日間身体拘束されてしまいます。

そこで、弁護人は裁判所に対し、勾留、勾留延長に対する準抗告を申立て勾留について争うことができます。

接見禁止に対する準抗告

否認事件、共犯者がいる事件などでは接見禁止がつけられる場合があります。接見禁止がつくと、弁護士以外の者とは接見することができません。このような不都合を回避するために、準抗告を申立することができます。

例えば、一部の家族との間では接見を認めてもらえるよう準抗告申立をすることがあります。

起訴猶予処分

勾留により身体拘束されている間に、捜査機関が捜査をした結果、犯罪の性質・程度、被害感情等を考慮し起訴しないと判断することがあります。

例えば、万引きの窃盗事件の場合でも、初犯、被害額が低額、被害弁償がされている等の事情があれば、有利な事情として考慮され、起訴猶予となる可能性もあり得ます。

起訴猶予処分となれば、別件事件等がない場合には、身体拘束から解放されることが期待できます。

具体的な弁護活動 勾留により、身体拘束がされた場合、起訴猶予処分となるような弁護活動をすることが考えられます。被害者に対する被害弁償・示談の交渉、親族等が指導監督していく旨の誓約書、反省文、被害者への謝罪文等の作成をしたりすることが考えられます。

また、環境調整として、被疑者の居住先の確保、就業先、公的給付の検討等により、被疑者が社会で問題なく生活できるような環境づくりをすることが考えられます。

略式命令

捜査により犯罪事実が認められ、事実について争いがない場合であって、罰金刑(100万円以下)が相当であると検察官が判断したときは略式命令の請求(461条)をすることがあります。

略式命令は公判を開かず書面審理によって財産刑を科す手続であり、法廷への出頭が必要ないため、異議のない被告人にとっては心理的負担が軽減されます。

実際の事件では、起訴事件のうち、約80%位が略式命令請求となっているようです(犯罪白書等の資料を参考)。

具体的な弁護活動 弁護士としては、事実関係に争いがない場合、起訴猶予処分とならない場合でも略式命令請求となるよう弁護活動をすることが考えられます。

弁護活動の内容としては、前述同様、被害弁償・示談交渉、反省文、謝罪文等の作成、生活環境の環境調整等です。