スポーツ事故の損害賠償や裁判例についての解説

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スポーツ事故について

スポーツ事故スポーツ事故は、様々な類型による怪我等があります。それゆえ、行為態様により法律構成を検討する必要があります。

法的責任を追及する相手も様々です。加害当事者、指導監督者、施設管理者、国又は公共団体等さまざまなケースが考えられます。

スポーツに関し基本理念、国及び地方公共団体の責務などを定めたスポーツ基本法が平成23年8月24日から施行されました。

学校の教師に対する安全配慮義務を認めた判例

最高裁 S62・2・6
学校の教師は、学校における教育活動により生ずるおそれのある危険から生徒を保護すべき義務を負っており、危険を伴う技術を指導する場合には、事故の発生を防止するために十分な措置を講じるべき注意義務があることはいうまでもない。

スポーツ事故で損害賠償請求できる金額の範囲

スポーツ事故の場合でも、交通事故と同様、積極損害、消極損害、慰謝料について請求をすることができます。

後遺障害の程度によっては、数千万円規模の損害賠償請求が認められた裁判例もあります。

球技の事故

サッカー、野球、テニス、バレーボール、ラグビー、アメリカンフットボール等

スポーツ事故(テニス)

怪我の原因としては、競技者同士の身体の接触、ボールの衝突など。競技用施設の設置管理瑕疵(ゴールポスト転倒等)が考えられます。


テニス教室で負傷した場合の裁判例(請求棄却)

横浜地裁 H10・2・25
テニスの練習中(上級クラス)に他の練習生の打ったボールを顔面に受けて負傷した原告が、練習生及びテニス教室の指導コーチの雇用主に対し、不法行為による損害賠償を求めた事案つき、指導コーチは、練習生の待機位置などについては、各練習生自身が適切に対処するであろうことを期待してよく、事細かな指示を与えるべき注意義務はないと判断し、原告の請求を棄却した。

テニス教室での事故についての裁判例を調べたところ、あまり多くの裁判例はないようです。この事案では、怪我をした原告が、一定程度、テニスの熟練者であったことが考慮されたのではないかと思います。

個人競技

水泳、スキー、スノーボード、ゴルフ、登山等

スポーツ事故(水泳、スキー、スノーボード、ゴルフ、登山等)怪我の原因としては、飛び込み時の頭部強打、溺水、スキーヤー同士の衝突、管理施設の瑕疵、指導者の不注意、ミスショット、電動カートの接触事故等が考えられます。

スノーボード事故に関する裁判例の紹介


スキー中の衝突事故

大阪高裁 H18.4.27
原告がゲレンデでスキー中、上方から滑走してきた被告と衝突し、頸椎損傷等の傷害を負った事案につき、スキー場のゲレンデをスキーで滑降中、上方からスノーボード滑走してきた被告に衝突され、頚椎損傷等の傷害を負い、その後遺障害が生じたとして、被告に対し、不法行為に基づく損害賠償を求めた事案で、原告の滑降速度は遅かった等を認定し、被告は、下方を滑降している原告を発見することができ、事故を回避することができたことから、被告には注意義務を怠った過失があると判断し、被告に対し約5900万円の支払いを命じた。

なお、スキー場のゲレンデでスキーをする者に対して、前方中止等の注意義務を認めた最高裁判例があるので紹介をしておきます。

最高裁 H7.3.1
スキー場において上方から滑走する者は、前方を注視し、下方を滑降している者の動静に注意してその者との接触ないし衝突を回避することができるように速度及び進路を選択して滑走すべき注意義務を負う 。

水泳の飛び込み事故の裁判例

大分地裁 H23.3.30
水泳の授業中の際に,スタート台に乗って,頭からプールに飛び込み,頚髄損傷の傷害を負った事例につき、教師に対する監視ないし危険行為制止義務を認めつつも、原告の過失割合を7割とし、被告である県に対し、約330万円の支払いを認めた。