不当解雇や解雇予告手当、損害賠償請求について

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不当解雇の争い方

不当解雇解雇とは、使用者が一方的に労働契約を解約することです。

解雇には、懲戒解雇、整理解雇、普通解雇があります。

解雇がなされた場合には、まず解雇が無効であるか否かを検討するのがよいと思います。

解雇が無効であれば、後述の説明のように、現在も労働契約上の権利を有しているとして復職を目指しつつ、場合によっては金銭解決をするという方法により交渉することが考えられます。

原告側の主張としては・・・

労働者側が解雇されたとして争う場合に、使用者側からは合意解約であるとの反論がなされる可能性があります。そのため、どのようなやり取りが当事者間にあったのかが重要となる場合があります。例えば、ボイスレコーダー等で使用者とのやりとりを記録しておけば、後日の裁判において重要な証拠となります。

解雇理由証明書交付請求

解雇をされた労働者は、使用者に対して、解雇理由証明書の交付するように請求をすることができます。これにより、解雇の理由を知ることができます。また解雇の意思表示があったことを示す資料となります。

常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則の作成義務があるところ、就業規則には、「退職に関する事項(解雇の事由を含む)」を定めなければなりません(労基法89条第3号)。

労基法第22条(退職時等の証明)
労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあつては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。

普通解雇について

解雇予告が適正になされたとしても、客観的に合理的な理由を欠く解雇権濫用と認められるような解雇は無効となります。具体的には個別事案ごとに検討されることになりますが、何らの事前の警告もなく、わずかな仕事のミスであるにかかわらず、ワンマン社長の逆鱗にふれ一方的に解雇されたような場合には、無効になるケースが多いものと思われます。

労働契約法 第16条
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

解雇予告手当について

労働基準法では、労働者保護の見地から、解雇予告の規定を設けています。

解雇をしようとする場合、30日前の予告又は30日分の平均賃金の支払が必要となります。

※予告と平均賃金支払との併合でも構いません(15日前に予告+15日分の平均賃金の支払)。

労基法 第20条(解雇の予告)
使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。

例外(解雇予告手当が不要な場合)

※その他、一定の職種については解雇予告義務の適用除外となりますので注意ください。

懲戒解雇

懲戒解雇とは、職場規律違反等に対する懲戒処分として行われる解雇をいいます。

解雇予告や予告手当の支払がなく即時になされ、退職金が支給されない場合も考えられます。

懲戒解雇も無制限にできるのではなく、一定の要件を満たす必要があります。

例えば、事前に懲戒の種別及び事由を就業規則等において定められている必要があります。

労働契約法 第15条(懲戒)
使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。

整理解雇

整理解雇とは、企業経営上の観点から人件費削減等のために行われる解雇をいいます。

整理解雇に関しては、裁判例において整理解雇の4要件を総合的に判断して有効か否かを判断しているケースが多いと思われます。