遺言無効確認の訴え|偽造・認知症

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遺言無効確認の訴えについて

遺言には、自筆証書遺言、秘密証書遺言、公正証書遺言があります。

自筆証書については、遺言者が自筆したのか(偽造か)が争点となるケースがあります。

検認手続について

遺言(公正証書を除く)には、家庭裁判所での検認手続が必要です。検認は、遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。遺言書の状態を保全する手続き(証拠保全)です。

例えば、検認時の遺言書を家庭裁判所でコピ‐などすることにより、後日の変造や隠匿を防止することができます。近年における検認手続の件数は,1980年頃と比べると急激に伸びてきているようです。

(遺言書の検認) 第千四条
遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。

遺言が無効であると考えたとき

遺言無効確認の訴えを提起することができます。

遺言無効確認訴訟は、通常共同訴訟であるとの判例があります(最高裁昭和56年9月11日)。

少々専門的な話になりますが、分かりやすく説明すると、相続人の全員が訴訟当事者となる「必要がない」ということです。もっとも、紛争の抜本的解決のためには、相続人全員が訴訟当事者となっていることが好ましいと思います。

遺言の無効原因

遺言の無効原因として考えられるケースは、主な争点は、大きく分けて、①遺言の当時、判断能力を有していなかった場合、②遺言が偽造である場合、が考えられます。

遺言無効確認の訴えの利益について

上記①の類型として,遺言をしたものの,遺言当時認知症が進み,現在回復の見込みがない場合,遺言者が生存しているとき,遺言無効の訴訟を提起できるでしょうか。

この点につき、遺言者の生前における遺言無効確認の訴えは不適法であるとするのが最高裁の立場です(最高裁 昭和31年10月4日)。遺言者が心神喪失の常況にあって回復する見込みがなく、遺言者による遺言撤回等の可能性が事実上ない状態にあっても同様であると考えられています。

当事務所では、遺言無効確認訴訟の相談をお聞きしています。遺言作成当時の意思能力や、遺言者の自書性について疑義がある場合、弁護士にご相談ください。