施設入所の手続など

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成年後見業務と入所施設の選択など

成年後見人(補助人、保佐人)に就任した場合、被後見人の生活を今後どのようにしてサポートしていくのかを考える必要があります。ここでは、施設入所の検討や在宅介護における問題点などを考えたいと思います。

施設入所と生活の拠点

住居については、被後見人の従来の生活を考慮したサポートが必要だと考えます。

例えば、長年生活を送ってきた住居を移動し、施設などに入居しようと考える場合には、新しい環境に馴染むことができるのか検討する必要があります。

もっとも、施設入居の必要性が高いような場合には、施設入所を前提として、以後、どのようにサポートしていくのか(面会回数、スタッフとのコミュニケーション等)を考えなければなりません。

どんな施設があるのか?

特別養護老人ホーム

特別養護老人ホームは、終身施設である場合が多く、一度入居すれば移動をする必要がありません。そのため、安定的な身上介護のサービスをすることができます。また、費用の面でも有用性があります。しかしながら、入居希望者が殺到しており、申し込みをしても100人単位での入居待ちということも多くあります。簡単に入居することができないのが難点です。

老人保健施設

老人保健施設は、長期間入居することができません。私の知る限りでは、長くとも半年から1年位で転居先を探さなければなりません。そのため、老人保健施設で身上監護を行う場合には、老人保健施設を転々とする必要があります。また、いつ、どこの老人保健施設に空きがでるのか分からないため、複数の対して申込をする必要があります。もっとも、入居の難易度については、早ければ申し込みから3か月位で入居可能であるとの連絡をもらえることもあります。ただし、施設を転々とすることは、本人の環境変化への影響が心配となります。また、特別養護老人ホームと比べると費用が高くなるという問題もあります。

在宅介護で後見業務

施設入所が難しい場合や、本人が施設入所を拒む場合、介護の必要の程度として施設入所するほどでない場合などは、在宅介護ということになります。

在宅介護の場合、金銭を被後見人に渡してしまう悩ましい問題があります。日々必要な生活費などについては、被後見人に渡すことも考えられます。 また、金銭を少し持っておかないと落ち着かないという被後見人の方もいらっしゃると思われます。もっとも、浪費癖があるような場合には、金銭を渡してしまうのは問題です。被後見人(補助・補佐)の性格に応じた対応が必要です。

デイサービスなどの利用

デイサービスを利用すれば、入浴、食事などのサポートを受けることができます。もっとも、被後見人の収入等に応じた選択が必要であると思います。また、選択については、被後見人(補助 補佐)の意見を尊重することも大切です。

しかしながら、本人の意向と、実際に行うべき必要性の高いサービスが不一致となる場合もあり、これも後見業務の難しいところであります。

被後見人の生活を組み立てる

個々の本人様の意思や財産状況を考慮しながら組み立てて行く必要があります。財産状況を考慮するのは、例え本人の意思があってもそれを裏付ける収入、預金等がない場合には、根拠となる数字等を示して説明しなければならないと思います。

被後見人の収入との関係

年金

現在、無年金の方であっても、一度、年金事務所に問い合わせをしてみることも考えてみる必要があります。場合によっては、過去の掛け金の事実等の記録が漏れており、年金受給ができるようになったというようなケースもあるようです。

介護保険に利用

サービスの調整について、介護支援専門員(ケアマネージャー)と打ち合わせするのも有益です。その人の状況に応じたケアプランを提案していただき、本人の同意を得て介護保険の適用によるサービスの利用を開始します。