「少年審判では、どんなことを聞かれるのだろう」「子どもは、きちんと答えられるだろうか」
初めての少年審判を前にすると、少年本人だけでなく、保護者の方も心配になると思います。何が行われるのか分からないことが、不安につながっている場合もあるのではないでしょうか。
この記事では、当職が付添人として立ち会ってきた経験をもとに、少年審判の当日の流れをご紹介します。審判の場面を少しでも具体的に想像していただければと思います。

少年審判当日の流れ|まずは全体を見てみましょう
当職が経験してきた審判の流れ
- 本人の情報を確認
氏名・住所・生年月日・本籍など - 非行事実を確認
審判の対象となる事実に間違いがないか - 事件の原因や生活について質問
当時の生活、友人関係、これからのこと - 保護者・関係者への質問
家庭や学校で、これからどう支えるか - 付添人から少年への質問
伝えきれなかった考えや家族への思い - 調査官からの質問
面接で話してきた課題などを確認 - 裁判官から判断と理由の説明
その日の判断が伝えられます
※質問の順番は一例です。途中で休廷する場合や、その日に最終的な処分を決めない場合もあります。
当職の経験では、審判の開始から終了までは、おおむね1時間程度になることが多いと感じています。ただし、決まった時間があるわけではありません。
まず、氏名や住所などを確認します
初めに、氏名、住所、生年月日など、少年自身の情報について聞かれます。普段から知っていることでも、緊張していると、すぐに言葉が出てこないことはあると思います。
この場面で、当職がよく見かけるのが、本籍を聞かれて答えに詰まることです。大人でも、自分の本籍を正確には知らない方がいるのではないでしょうか。
当職が立ち会った審判では、少年が答えられないと、裁判官が「本籍は○○でよいでしょうか」と確認する形で進めてくれることが多くありました。
本籍がすぐに言えないからといって、慌てる必要はありません。分からないことは、分からないと伝えればよいと思います。
審判の対象となる非行事実を確認します
続いて、審判の対象となる出来事について、間違いがないかを確認されます。
例えば、窃盗の事件であれば、「あなたは、○年○月○日、○時ころ、○○店舗で○○を盗んだ」という内容について、事実と違うところがないかを聞かれる場面です。
事実関係に間違いがなければ、「間違いありません」と答えることになります。一方で、違うところがあれば、どの部分が違うのかを伝えることが大切です。不安な点や自分の認識と違う点は、審判前に付添人と確認しておきます。
当職が付添人となっている場合には、こうした最初のやり取りも、少年との模擬審判で確認しています。質問されて答える形を一度経験しておくと、当日の流れを想像しやすくなるからです。
審判前の練習については、少年鑑別所での面会【審判直前編】|模擬審判で少年の不安を和らげる付添人活動で詳しくご紹介しています。
事件の原因や、これまでの生活について質問されます
非行事実に争いがない場合には、事件に至った理由や、当時の生活、これからのことについて、裁判官から質問が続きます。当職の感覚では、ここが審判の中心となる時間です。
例えば、このようなことを聞かれます
- なぜ、その非行をすることになったのか
- 途中でやめることはできなかったのか
- 当時は、どのような生活をしていたのか
- 友人とは、どのような付き合い方をしていたのか
- 同じことを繰り返さないために、何が大切だと思うか
裁判官が質問し、少年が答え、その答えを受けて、さらに質問する。そのやり取りが繰り返されます。
事件の内容にもよりますが、当職の経験では、この部分に30~40分程度かかることが多いように思います。これは当職が立ち会った事件での目安です。
うまい答えを用意するというよりも、これまで考えてきたことを、自分の言葉で伝えることが大切だと考えています。面会を重ねる中で少年の考えがどう変わるかについては、少年鑑別所での面会【中期編】でもお話ししています。
保護者や、出席した学校の先生にも質問されることがあります
少年への質問に続いて、出席している保護者に質問されることがあります。また、学校の先生が出席している場合には、今後の学校での指導などについて聞かれることもあります。
当職の経験では、少年への質問ほど長い時間をかけることは少なく、数分程度、質問も1~2点程度となることが多いように感じます。もちろん、確認すべき事情があれば、それ以上になることもあります。
時間は短くても、保護者や先生が、自分のことをどう考え、これからどう支えようとしているのかを、少年が直接聞く機会になります。その言葉が、少年の心に響くこともあると思っています。
付添人からの質問で、当職が大切にしていること
付添人である弁護士から、少年に質問する時間もあります。当職の経験では、数分程度となることが多いと思います。
当職は、裁判官への回答で十分に伝わらなかったと思うところを掘り下げたり、それまで触れられていなかった角度から質問したりしています。
家族への思いを、自分の言葉で伝えてもらう
特に意識しているのが、父親や母親が出席しているときに、家族への思いを語ってもらうことです。
ときには、少年に父親や母親の方を向いてもらい、直接、言葉を伝えてもらいます。気持ちを話している途中で、涙を流す少年も少なくありません。
ただ、涙が出るかどうかや、上手に話せるかどうかを大切にしているわけではありません。本人が抱いている思いを、本人の言葉で伝える時間にしたいと考えています。
当職が、この時間に込めている思い
事件のことや、そのときの反省の気持ちは、時間がたつにつれて薄れてしまうかもしれません。それでも、何か一つ、少年の心に残るものを残したい。そのような思いから、家族に直接話す時間を大切にしています。
親に向かって、感謝の気持ちや、これからの約束を自分の言葉で伝える機会は、人生の中でも、そう何度もあるものではないと思います。その時間を、少年の胸に刻んでほしいと願っています。
調査官から、少年の課題などを確認されることもあります
当職が経験してきた流れでは、終盤に、担当した家庭裁判所調査官から質問されることもあります。
少年鑑別所などでの面接で話してきた内容や、少年の課題となっている部分について、改めて確認するような質問です。それまでの面接で考えてきたことを、審判の場でも伝える機会になると感じています。
最後に、裁判官から判断と理由が伝えられます
こうしたやり取りを経て、裁判官から、その日の判断が伝えられます。その前に、一度休廷となる場合もあります。
当職が立ち会った審判では、保護観察や少年院送致などの判断が告げられた後、なぜその判断となったのかについても、簡潔に説明されることが多くありました。
試験観察として、しばらく様子を見る場合もあります
その日に最終的な処分を決めず、試験観察となる場合もあります。試験観察は、一定期間の生活や行動の様子などを見たうえで、最終的な処分を決めるためのものです。
したがって、審判の日に、必ずすべての判断が終わるとは限りません。
審判までの身体拘束や、帰宅に向けた付添人活動については、少年鑑別所での収容期間は?をご覧ください。
審判を、これからの生活につながる時間に
ここまでが、当職が付添人として経験してきた、少年審判のおおまかな流れです。
当日は、少年も保護者の方も緊張すると思います。それでも、何を聞かれ、どのように進むのかを少し知っておくだけで、心の準備はしやすくなるのではないでしょうか。
当職は、審判前の面会や模擬審判を通じて、少年が自分の考えを整理し、自分の言葉で伝えられるように支えています。そして、審判で話したことや家族に伝えた思いが、その後の生活にもつながってほしいと考えています。
付添人として行っている支援全般については、少年事件の付添人としての活動でもご紹介しています。
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