遺言無効確認の訴え|遺言書の有効性を争う場合

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遺言無効確認の訴えについて

遺言には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言などがあります。

遺言書が発見されたとしても、その遺言が必ず有効であるとは限りません。例えば、自筆証書遺言について、本当に遺言者本人が作成したのかが争われる場合や、遺言をした当時に認知症が進行しており、遺言内容を理解して判断する能力があったのかが問題となる場合があります。

このように遺言の有効性について争いがある場合には、遺言無効確認の訴えによって解決を図ることがあります。

遺言書の検認について

自宅などで保管されていた自筆証書遺言や秘密証書遺言については、遺言者の死亡後、原則として家庭裁判所で検認の手続を行う必要があります。

検認とは、相続人に遺言書の存在と内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など、検認時における遺言書の状態を明確にして、後日の偽造や変造を防止するための手続です。

検認は、遺言が有効か無効かを判断する手続ではありません。したがって、家庭裁判所で検認を受けた遺言であっても、その後に遺言の有効性が争われることがあります。

なお、次の遺言については、家庭裁判所による検認は必要ありません。

  • 公正証書遺言
  • 法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用して保管されている自筆証書遺言

また、封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人等の立会いのもとで開封する必要があるため、発見した相続人が自分で開封することは避けなければなりません。

遺言が無効となる主なケース

遺言無効確認訴訟で問題となる事情は事案によって異なりますが、旧ページでも取り上げていた代表的な争点は、次の2つです。

  • 遺言当時、遺言者に遺言能力がなかった場合
  • 自筆証書遺言が遺言者本人によって作成されたものではなく、偽造された場合

そのほか、自筆証書遺言について法律で定められた方式を満たしていない場合など、遺言の方式違反が問題となることもあります。

認知症などにより遺言能力が問題となる場合

民法では、遺言者は遺言をする時において、その能力を有していなければならないとされています。

そのため、遺言者が高齢であった、認知症と診断されていたという事情だけで直ちに遺言が無効になるわけではありません。重要なのは、その遺言を作成した時点で、遺言の内容やその結果を理解して判断する能力があったかという点です。

遺言能力が争われる場合には、例えば次のような資料や事情が問題となります。

  • 遺言作成当時の診療録や診断書
  • 認知症に関する検査結果
  • 要介護認定に関する資料
  • 介護施設やケアマネジャー等の記録
  • 遺言作成前後の本人の言動や生活状況
  • 遺言内容の複雑さや、それまでの本人の意向との整合性
  • 遺言書を作成するに至った経緯

遺言能力の有無は、このような事情を総合して判断されます。

自筆証書遺言の偽造が疑われる場合

自筆証書遺言では、原則として遺言者自身が遺言書の全文、日付及び氏名を自書する必要があります。

そのため、「遺言者本人の筆跡ではないのではないか」「相続人の一人が作成したのではないか」といった疑いがある場合には、遺言書の自書性が重要な争点となります。

このような場合には、遺言者が生前に作成した手紙、日記、署名のある書類などと遺言書の筆跡を比較したり、必要に応じて筆跡鑑定を検討したりすることがあります。

もっとも、筆跡だけで結論が決まるわけではありません。遺言書が発見された状況、保管状況、作成時期、遺言内容、関係者の説明なども含めて検討することになります。

遺言無効確認の訴え

遺言が無効であると考える場合には、相手方との話し合いで解決できなければ、遺言無効確認の訴えを提起することが考えられます。

遺言無効確認訴訟では、遺言書が本人によって作成されたものか、遺言当時に遺言能力があったか、法律上必要な方式を満たしているかなど、争点に応じて主張と立証を行います。

遺言無効確認の訴えについては、相続人全員を必ず訴訟当事者にしなければならないというものではないとされています。

もっとも、一部の相続人との間でだけ遺言の有効・無効を確定しても、他の相続人との間に争いが残る場合があります。相続問題を全体として解決するためには、誰を訴訟当事者とするのかについても事案ごとに検討する必要があります。

遺言者が生存している間に遺言無効確認を求められるか

例えば、遺言を作成した後に認知症が進行し、その後回復する見込みがない場合、遺言者の生前に「その遺言は無効である」と確認する訴えを提起できるのかが問題となることがあります。

この点について、最高裁判所は、遺言者が生存している間に遺言無効確認を求める訴えは認められないとの立場を示しています。

遺言は遺言者の死亡によって効力を生じるものであり、遺言者は生存中であれば遺言を撤回したり、新しい遺言を作成したりすることができるためです。

これは、遺言者が判断能力を失い、事実上遺言を撤回することが難しい状態になっている場合であっても、基本的に同様です。

遺言無効を争う場合には早めの証拠確認が重要です

遺言無効確認訴訟では、遺言作成時点の遺言者の状態を後から立証しなければならないことがあります。

特に遺言能力が争点となる場合には、遺言作成当時の診療録、介護記録、要介護認定資料などが重要になることがあります。また、偽造が疑われる場合には、生前の筆跡資料を確保しておくことも重要です。

遺言書の内容に疑問がある場合には、遺言書だけを見るのではなく、遺言が作成された時期、本人の心身の状態、作成経緯、保管状況などを含めて検討することが必要です。

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