交通事故によって怪我をした場合には、治療費や休業損害などのほか、精神的苦痛に対する慰謝料が問題となります。
交通事故で問題となる3つの慰謝料
入通院慰謝料
交通事故による怪我のため、入院・通院を余儀なくされたことに対する慰謝料です。
後遺障害慰謝料
治療を続けても症状が残り、後遺障害が認められた場合に問題となる慰謝料です。
死亡慰謝料
交通事故によって被害者が死亡した場合に問題となる慰謝料です。
通院慰謝料の計算|たくさん通院すれば高くなる?
通院慰謝料は、交通事故による怪我のため、症状固定までの間、通院を余儀なくされたことによる精神的苦痛に対する損害賠償です。
では、通院日数が多くなればなるほど、慰謝料も高額になるのでしょうか。
実際には、そのような単純なものではありません。
大阪では大阪地裁の算定基準を参考にします
大阪で交通事故の損害賠償額を検討する場合には、「大阪地裁における交通損害賠償の算定基準」が実務上の参考とされています。
入通院慰謝料については、原則として入院期間・通院期間を基礎とし、怪我の程度や実際の通院状況なども考慮して算定します。
通院3か月・入院なしの場合の一例
通常の傷害
約72万円
他覚所見のないむち打ち等
約48万円
※いずれも大阪地裁の算定基準による一応の目安です。実際の金額は、怪我の内容、治療経過、通院状況などによって異なります。
通院日数が少ない場合も検討が必要です
通院期間が長期にわたり、かつ通院状況が不規則な場合には、単純に最初の通院日から最後の通院日までを通院期間として扱うとは限りません。
大阪の基準では、受傷や治療の内容・程度などを踏まえ、実際に通院した日数も考慮して通院期間を評価することがあります。
例えば、実通院日数の3.5倍程度の日数を、慰謝料算定上の通院期間の目安として考える場合があります。
逆に、毎日のように通院すればよいわけでもありません
では反対に、通院慰謝料を増やすため、できるだけ頻繁に通院した方がよいのでしょうか。
これも、そのような単純な話ではありません。
症状や治療内容に比べて必要以上に頻繁な通院が続けば、その分だけ医療費も増加します。場合によっては、保険会社から治療の必要性について疑問を持たれ、治療費の一括対応を終了するという話につながることも考えられます。
「慰謝料を増やすために通院回数を増やす」という考え方はお勧めしていません。
怪我の症状に応じて、医師の指示のもと必要な治療を受けることが基本です。そのうえで、通院期間、実通院日数、怪我の内容などから慰謝料を検討します。
このあたりは、怪我の内容や通院状況によって判断が変わりますので、当事務所では来所相談の際に、実際の治療経過を確認しながら説明しています。
入通院慰謝料
入通院慰謝料は、交通事故による怪我のため、入院や通院を余儀なくされたことによる精神的苦痛に対して認められる慰謝料です。
大阪の交通事故実務では、大阪地裁における交通損害賠償の算定基準を参考にして慰謝料額を検討します。
原則として入院期間・通院期間を基礎としますが、怪我の程度や治療経過、実際の通院状況などによって金額が修正される場合があります。
軽度の神経症状の場合
むち打ち症で他覚所見がない場合や、軽度の打撲・挫創などの軽度の神経症状については、大阪地裁では標準的な慰謝料額の3分の2程度とするのが通常です。
例えば、入院せず3か月通院した場合、通常の傷害であれば約72万円が一応の目安となりますが、他覚所見のないむち打ち症等では、その3分の2程度である約48万円が一応の目安となります。
もっとも、慰謝料は表に機械的に当てはめるだけで決まるものではありません。治療の内容、症状の程度、通院状況など、個別の事情を確認する必要があります。
後遺障害慰謝料
治療を続けても症状が残り、後遺障害が認められた場合には、入通院慰謝料とは別に後遺障害慰謝料が問題となります。
大阪地裁における後遺障害慰謝料の基準額の目安は、次のとおりです。
| 後遺障害等級 | 大阪地裁基準の目安 |
|---|---|
| 第1級 | 2,800万円 |
| 第2級 | 2,400万円 |
| 第3級 | 2,000万円 |
| 第4級 | 1,700万円 |
| 第5級 | 1,440万円 |
| 第6級 | 1,220万円 |
| 第7級 | 1,030万円 |
| 第8級 | 830万円 |
| 第9級 | 670万円 |
| 第10級 | 530万円 |
| 第11級 | 400万円 |
| 第12級 | 280万円 |
| 第13級 | 180万円 |
| 第14級 | 110万円 |
上記はあくまで基準額の目安です。後遺障害の具体的な内容や程度、事故による生活への影響などの事情によって、慰謝料額を個別に検討することになります。
死亡慰謝料
交通事故によって被害者が死亡した場合には、死亡による精神的苦痛に対する慰謝料が問題となります。
大阪地裁における死亡慰謝料の一応の目安は、次のとおりです。
| 被害者の立場 | 大阪地裁基準の目安 |
|---|---|
| 一家の支柱 | 2,800万円 |
| その他 | 2,000万円~2,500万円 |
「一家の支柱」とは、被害者の収入によって世帯の生計が主として維持されていた場合をいいます。
死亡慰謝料についても、上記金額がすべての事件にそのまま適用されるわけではありません。被害者の年齢、家族関係、事故態様その他の事情を踏まえて判断されます。
大阪の交通事故では大阪の基準で検討します
交通事故の慰謝料についてインターネットで調べると、東京地裁の実務で用いられる基準を前提とした金額が多く掲載されています。
しかし、大阪で交通事故の損害賠償額を検討する場合には、大阪地裁における交通損害賠償の算定基準を踏まえて検討する必要があります。
特に入通院慰謝料や後遺障害慰謝料については、東京の基準と大阪の基準とで金額や考え方が異なる部分があります。
当事務所では、相談時に事故後の治療経過、傷病名、通院期間、実通院日数、後遺障害の有無などを確認し、大阪の交通事故実務を踏まえて損害額を検討しています。
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