児童に自撮り画像を送らせた場合の犯罪|児童ポルノ製造罪

SNSやLINEなどを通じて、18歳未満の児童に性的な自撮り画像を撮影させ、送信してもらった場合、児童ポルノ法違反として処罰されることがあります。

このような性的画像の送受信は「セクスティング(Sexting)」と呼ばれます。特に児童の自撮り画像については、撮影したのが児童自身であっても、撮影や送信を求めた側に児童ポルノ製造罪が成立する場合があります。

また、2023年の刑法改正により、一定の16歳未満の者に性的画像の送信を要求する行為そのものも処罰対象となりました。

この記事のポイント

  • 児童自身が撮影した画像でも製造罪が成立する場合がある
  • 画像を送信していなくても、要求行為が処罰される場合がある
  • 児童の同意があっても、当然に犯罪が成立しなくなるわけではない
  • 児童の年齢、画像の内容、要求方法などによって適用法令が異なる
目次

児童に自撮り画像を送らせると児童ポルノ製造罪になるのか

児童ポルノ法7条4項は、児童に法律で定められた性的な姿態をとらせ、これを写真や電磁的記録などに描写して児童ポルノを製造する行為を処罰しています。

この規定は、行為者が自らカメラを操作して撮影する場合に限られません。

例えば、SNSなどで知り合った児童に対して、性的な姿態の写真を撮影するように指示し、その画像を送信させた場合にも、児童ポルノ製造罪が成立する可能性があります。

児童ポルノ法7条4項(製造罪)

児童に同法2条3項各号に定める姿態をとらせ、写真や電磁的記録などに描写することによって児童ポルノを製造する行為を処罰する規定です。

法定刑:3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金

ただし、児童から画像が送信されたという事実だけで、受信者に製造罪が当然に成立するわけではありません。撮影に至る経緯、指示の内容、画像の性質などを確認する必要があります。

児童ポルノに該当する画像とは

児童ポルノ法の「児童」とは、18歳に満たない者をいいます。

もっとも、18歳未満の人物を撮影した画像が、すべて児童ポルノに該当するわけではありません。同法2条3項では、次のような性的な姿態を描写したものが対象とされています。

区分対象となる姿態
第1号児童を相手方とする、又は児童による性交・性交類似行為に係る姿態
第2号児童と他人との性器等への接触行為に係る姿態で、性欲を興奮・刺激するもの
第3号衣服の全部又は一部を着けず、性的な部位が殊更に露出・強調され、性欲を興奮・刺激する姿態

特に第3号については、単に衣服を着けていないというだけでなく、性的な部位の露出・強調の状況や画像の内容などを踏まえて、該当性が判断されます。

画像を送信させていなくても処罰される場合がある

性的な画像を要求したものの、実際には送信されなかった場合にも、要求行為自体が処罰対象となることがあります。

刑法182条3項|16歳未満への性的画像送信要求

2023年7月13日に施行された改正刑法では、一定の16歳未満の者に対して、性的な姿態をとった画像・動画を送信するよう要求する行為が処罰されるようになりました。

13歳未満の者に対する場合のほか、13歳以上16歳未満の者については、行為者が5歳以上年長である場合が対象となります。

法定刑:1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金

この罪は、法定の性的画像の送信を要求した段階で成立し得るため、実際に画像を受信したかどうかが常に決定的な問題となるわけではありません。

大阪府青少年健全育成条例による規制

大阪府では、青少年健全育成条例42条の2により、18歳未満の青少年に対して、その青少年自身の児童ポルノ等の提供を求める行為が禁止されています。

拒まれたにもかかわらず要求を続けた場合や、威迫・欺罔・困惑させる行為、対価の提供や約束などを伴う場合には、30万円以下の罰金の対象となります。

大阪府の条例は、国の法律とは別に、児童が性的な自撮り画像を送信してしまう前の段階から被害を防止することを目的としています。

行為の段階によって問題となる法律は異なる

セクスティングに関係する行為は、画像を要求する段階、撮影・送信させる段階、その後に第三者へ提供する段階などに分けて考えることができます。

行為の段階問題となる法律
① 性的画像を要求する刑法182条3項、大阪府青少年健全育成条例42条の2など
② 児童に撮影・送信させる児童ポルノ法7条4項の製造罪など
③ 第三者に提供・公開する児童ポルノ法7条2項・6項など

それぞれの犯罪には固有の成立要件があります。すべての事案で各段階の犯罪が成立するという意味ではありません。

児童が同意していた場合はどうなるのか

児童ポルノ製造罪では、撮影や送信について児童本人が承諾していたとしても、そのことだけで当然に適法となるわけではありません。

児童ポルノ法は、児童の尊厳を守り、性的搾取や性的虐待から児童を保護することなどを目的としています。

東京高裁平成22年3月23日判決も、児童ポルノの製造に児童が同意していたとしても、特段の事情のない限り、その違法性が阻却されるものではないとの判断を示しています。

交際相手同士の場合も注意が必要です

交際していることや、児童から進んで画像を送信したことだけで、必ずしも犯罪の成立が否定されるわけではありません。一方、画像の要求・撮影に至る経緯や行為者の年齢などによって法的評価は異なります。

セクスティング事件における弁護活動

児童ポルノ法違反などの疑いで捜査を受けた場合には、適用される犯罪の成立要件を確認し、具体的な事実関係を整理することが重要です。

事実関係に争いがある場合

画像の内容や、相手方の年齢、撮影を指示した事実の有無、メッセージのやり取りなどを確認し、犯罪の成立要件が満たされているかを検討します。

犯罪の成立を裏付ける証拠が不十分な場合には、嫌疑不十分による不起訴処分を求める弁護活動が考えられます。

事実関係を認める場合

事実関係に争いがない場合には、行為に至った経緯、被害の内容、前科前歴、反省や再犯防止に向けた取組などを踏まえ、起訴猶予を含む不起訴処分や相当な刑事処分を求めることが考えられます。

被害児童や保護者への謝罪・被害回復の方法を検討することもありますが、被疑者本人が直接接触することは、かえって問題を生じさせる可能性があります。必要に応じて弁護士を通じた対応を検討します。

また、パソコンやスマートフォンの記録、SNSのメッセージなどは重要な証拠となる場合があります。捜査対象となっているデータを自己判断で削除・改変することは避ける必要があります。

まとめ|児童の自撮り画像を送らせる行為と刑事責任

児童に性的な自撮り画像を撮影させて送信させる行為については、児童ポルノ法7条4項の製造罪が成立する場合があります。

また、一定の16歳未満の者に画像送信を要求する行為は刑法182条3項の対象となり、大阪府では18歳未満の青少年に対する児童ポルノ等の提供要求について条例上の規制も設けられています。

刑事責任の有無や処分の見通しは、相手方の年齢、画像の内容、要求・撮影・送信の具体的経緯などによって異なります。

片岸法律事務所では、大阪市東住吉区を拠点として、児童ポルノ法違反などの刑事事件について、逮捕・勾留された事件や在宅で捜査を受けている事件の法律相談・弁護活動に対応しています。

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