狭い道路でのすれ違い事故の過失割合は?|基本50対50と修正要素を弁護士が解説

山道や細い路地で、対向車とすれ違う際にサイドミラーや車体同士が接触した。このような事故では、過失割合はどのように考えればよいのでしょうか。

狭い道路でのすれ違い事故は、怪我はなく、物損のみで終わることが多い類型です。もっとも、「こちらは止まっていた」「相手が動いていた」など、事故状況について主張が食い違いやすく、過失割合でも紛争になりやすい傾向があります。

この記事では、狭い道路でのすれ違い事故の過失割合について、実務上の考え方を分かりやすく解説します。

この記事のポイント

  • 狭い道路でのすれ違い事故では、双方とも直進車として扱われるのが基本です。
  • 基本過失割合は、50:50と考えられます。
  • 修正要素として、退避所の有無、退避可能な場所の有無、車幅の大きさ、徐行の有無などが問題になります。
  • 「こちらは停止していた」「相手は動いていた」など、停止の有無や停止のタイミングが争点になりやすい類型です。
  • 物損のみ・少額賠償になりやすいため、弁護士費用特約のメリットが大きい事故類型でもあります。
目次

1 狭い道路でのすれ違い事故とは

狭い道路でのすれ違い事故とは、山道、住宅街の細い路地、見通しの悪い生活道路などで、対向車同士がすれ違う際に接触する事故をいいます。

典型的には、次のような事故です。

  • サイドミラー同士が接触した
  • 車体の側面同士が擦れた
  • 一方がやや左に寄ったが、十分に避けきれず接触した
  • 狭い道路で相手車両と鉢合わせになり、すれ違いの際に接触した

この種の事故は、比較的低速で発生することが多く、怪我はなく、主として物損のみとなることが少なくありません。

2 基本過失割合は50:50

狭い道路でのすれ違い事故では、双方とも進行中の車両であり、基本的にはいずれも直進車として扱われます。

そのため、まずは次のような基本過失割合を出発点として考えることになります。

基本過失割合

双方とも直進車

50% : 50%

もっとも、この類型では、基本過失割合が示されても、結論としては五分五分となるため、当事者の納得が得られにくく、紛争になりやすい傾向があります。

3 過失割合の修正要素

狭い道路でのすれ違い事故では、基本過失割合が50:50であっても、事故状況によって修正が検討されます。典型的な修正要素は次のとおりです。

修正要素問題となる内容
退避所あり直前に退避所があったか
退避可能な場所あり退避所がなくても、退避可能な場所があったか
相手車両に対して車幅等大車幅や車長に大きな差があり、すれ違いを困難にしたか
徐行なし狭い道路にもかかわらず、十分に速度を落とさず進行していたか

重要なのは、単に「接触した」というだけでなく、どちらにより大きな回避可能性があったのか、どちらがより慎重に運転すべき状況だったのか、という点です。

4 争点になりやすいのは「停止していたかどうか」

この類型で実際に紛争になりやすいのは、事故直前の車両の動きです。

たとえば、こちらとしては、次のように考えることがあります。

  • こちらは事前に停止していた
  • 相手がそのまま進んできて接触した
  • こちらは十分に左へ寄せて待っていた

これに対し、相手方からは、次のような反論が想定されます。

  • 相手車両も動いていた
  • 停止したとしても、接触直前の停止にすぎない
  • 停止位置が不十分で、すれ違い可能な態勢ではなかった

つまり、「停止していた」という主張だけでは足りず、いつ、どこで、どのように停止していたのかが重要になります。

停止していたことの立証資料

争いになった場合には、次のような資料が役に立つことがあります。

  • ドライブレコーダー映像
  • 事故直後の現場写真
  • 車両損傷の位置・角度
  • 相手方とのやり取りの記録
  • 道路幅や退避スペースを示す現地写真

5 なぜ紛争が生じやすいのか

この類型では、一応の基準が示されても、基本過失割合が50:50であるため、被害者側としては「こちらが止まっていたのに五分五分なのは納得できない」と感じやすい一方、相手方としても「お互い様だ」と主張しやすい構造があります。

また、事故の規模が小さいため、警察の実況見分や物的資料が限定的になりやすく、客観的証拠が乏しいまま話し合いが進むことも少なくありません。

その結果、過失割合の修正要素をどう評価するか、停止していたとの主張をどう裏付けるかが、交渉の中心になります。

6 物損のみ・少額事故こそ弁護士費用特約のメリットが大きい

弁護士費用特約に加入している方へ

この類型の事故は、怪我がなく、物損のみとなることが多くあります。例えば、サイドミラーの擦り傷だけで修理費がそれほど高額ではない場合、通常の費用で弁護士に依頼すると、費用倒れになる可能性があります。

しかし、弁護士費用特約に加入している場合には、保険の範囲内で弁護士費用が補償されるため、低額の物損事故でも自己負担なく弁護士に依頼できる可能性があります。

狭い道路のすれ違い事故は、金額自体は大きくなくても、過失割合で揉めやすい事故です。だからこそ、弁護士費用特約がある場合には、そのメリットは非常に大きいといえます。

7 弁護士に相談するメリット

狭い道路でのすれ違い事故では、単に「五分五分ですね」で終わらせず、個別事情を丁寧に検討することが重要です。

  • 停止していたことをどう立証するか
  • 退避可能な場所がどちらにあったか
  • 道路幅や見通しの状況をどう整理するか
  • ドラレコや現場写真をどう評価するか

弁護士が関与することで、これらの事情を整理し、保険会社との交渉を進めやすくなる場合があります。

8 まとめ

  • 狭い道路でのすれ違い事故では、双方とも直進車として扱われるのが基本です。
  • 基本過失割合は、50:50です。
  • 修正要素として、退避所、退避可能場所、車幅、徐行の有無などが問題となります。
  • 実際には、停止していたかどうかが重要な争点になりやすいです。
  • 物損のみ・少額事故であっても、弁護士費用特約があれば依頼しやすいという大きなメリットがあります。

狭い道路でのすれ違い事故は、事故自体は小規模でも、過失割合で揉めやすい事故です。保険会社から示された割合に納得できない場合には、資料を整理したうえで、早めに相談することをおすすめします。

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