特別清算も法人破産も、最終的に会社を清算するための法的手続であるという点では共通しています。
もっとも、手続の進め方、債権者との調整方法、裁判所への予納費用などには違いがあります。
特に、親会社が子会社に多額の貸付金を有している場合などには、税務上の処理も考慮しながら、子会社を特別清算によって整理することがあります。
特別清算とは
特別清算は、解散して清算手続に入った株式会社について、清算の遂行に著しい支障を来すべき事情がある場合や、債務超過の疑いがある場合に、裁判所の監督のもとで清算を進める手続です。
法人破産では、裁判所から選任された破産管財人が会社の財産を管理・換価して手続を進めます。
これに対し、特別清算では、原則として会社の清算人が引き続き清算事務を行い、裁判所の監督を受けながら債権者との調整を進めていきます。
そのため、債権者との関係が比較的単純で、あらかじめ処理方針について調整ができている会社では、特別清算が適している場合があります。
特別清算(対税型)が利用される場合
例えば、親会社が子会社に多額の資金を貸し付けているものの、子会社の事業が不振となり、債務超過に陥っている場合があります。
子会社を清算したいものの、子会社には親会社からの借入金が残っており、そのままでは通常の清算を完了することができません。
このような場合に、特別清算を利用して子会社を整理することがあります。
- 子会社の主要な債権者が親会社のみである場合
- 他の債権者への支払いや調整を済ませ、最終的に親会社の貸付金が残る場合
このようなケースでは、親会社が子会社に対する貸付金について債権放棄等を行い、子会社を清算することがあります。
親会社の貸付金と税務上の処理
親会社が子会社に対する貸付金を単に放棄しただけでは、その損失が税務上当然に損金として認められるとは限りません。
債権放棄を行う合理的な理由や、子会社の財産状況、回収可能性などについて検討する必要があります。
そこで、裁判所が関与する法的な清算手続である特別清算を利用することがあります。
特別清算において協定が成立し、裁判所の認可決定によって債権が切り捨てられる場合には、その債権の税務上の処理についても検討することになります。
協定によるのか、債権者との和解によるのか、親会社・子会社の関係、債権放棄までの経緯、子会社の財産状況などによって税務上の検討事項は異なります。
そのため、対税型の特別清算を検討する場合には、弁護士だけでなく、公認会計士・税理士との連携が重要です。
特別清算のメリット
比較的柔軟に会社を清算できる
債権者との間であらかじめ清算方法について調整ができている場合には、破産手続と比較して、柔軟に会社の清算を進められる場合があります。
特に、債権者が親会社など少数に限られている場合には、特別清算を利用しやすいケースがあります。
一方、債権者が多数存在し、債権者間で大きな対立があるような場合には、特別清算よりも法人破産が適していることがあります。
裁判所が手続に関与する
特別清算は、単なる任意の会社清算とは異なり、裁判所が関与する法的な清算手続です。
特別清算開始後は、一定の財産処分、借入れ、訴訟の提起、和解、権利の放棄などについて、裁判所の許可が必要となる場合があります。
対税型の特別清算では、このような裁判所関与の手続を経て会社を清算することに意味がある場合があります。
裁判所への予納費用を抑えられる場合がある
債権者との調整が済んでおり、比較的単純な特別清算であれば、法人破産と比較して裁判所へ納める予納費用が低額になる場合があります。
もっとも、必要となる予納費用は裁判所や事件の内容によって異なります。
当事務所では、実際に申立てを行う際、その時点の裁判所の運用を確認して手続を進めます。
「破産」と「特別清算」の違い
「破産」という言葉は、取引先や関係者に対して強い印象を与えることがあります。
これに対して、「特別清算」という名称は、破産とは異なる印象を持たれることもあります。
そのため、親会社のグループ会社を整理するようなケースでは、対外的な説明のしやすさなどから、特別清算が検討されることがあります。
もっとも、特別清算も会社法に基づく法的な清算手続です。
単に「破産という名称を避けたい」という理由だけで選択するものではなく、会社の資産・負債、債権者の人数や意向などを踏まえて、どの手続が適切なのかを検討する必要があります。
特別清算の事例
多額の負債を抱えた子会社を清算したい場合
例えば、親会社には十分な資力があるものの、子会社の経営が悪化し、子会社だけが債務超過となっているケースを考えます。
子会社に次のような債務が存在しているとします。
- 金融機関への借入金
- 取引先への買掛金
- 親会社からの借入金
このままでは、多数の債権者との関係を処理する必要があるため、特別清算を円滑に進めることが難しい場合があります。
そこで、事案によっては、親会社が子会社の金融機関等に対する債務を第三者弁済するなどして、外部債権者との関係を整理することを検討します。
その結果、子会社に残る主要な債権者を親会社に集約できれば、親会社との間で債権処理について調整したうえで、特別清算を進めることが可能になる場合があります。
会社を解散してから考えるのではなく、実際に資金を動かしたり債務を弁済したりする前の段階で、弁護士・公認会計士・税理士と手続全体を検討することが重要です。
公認会計士・税理士との連携
対税型の特別清算では、法律上の手続だけでなく、税務上の処理が重要になります。
例えば、次のような点について事前の検討が必要です。
- 親会社側で債権放棄による損失をどのように処理するのか
- 子会社側で債務免除益がどのように取り扱われるのか
- 残余財産や資産の処分をどのように行うのか
- 特別清算のどの段階で債権処理を行うのか
そのため、当事務所では、必要に応じて依頼者の公認会計士・税理士と連携しながら、特別清算の手続を進めます。
特別清算の弁護士費用
当事務所の特別清算の弁護士費用の目安は、次のとおりです。
| 事件の内容 | 弁護士費用(税込) |
|---|---|
| 簡易な事件 債権者との調整が済んでいる場合 | 770,000円~ |
| 複雑な事件 債権者等との協議が必要な場合 | 1,100,000円~ |
会社の負債額、債権者数、保有資産、債権者との交渉の必要性などによって、必要となる業務量は大きく異なります。
具体的な弁護士費用については、ご相談時に会社の状況を確認したうえでご説明します。
※裁判所への申立手数料、予納金、登記費用その他の実費は別途必要となります。
特別清算の取扱実績があります
特別清算は、法人破産と比較すると利用する機会の多い手続ではありません。
特に、親会社・子会社間の債権処理を伴う対税型の特別清算では、会社法上の手続だけでなく、税務面も含めた事前の検討が重要になります。
特別清算による会社整理をご検討の企業様はもちろん、顧問先の会社について特別清算を検討している公認会計士・税理士の先生方からのご相談にも対応しています。
会社を解散した後では選択肢が限られることがあります。
子会社の整理、親会社からの貸付金の処理、債権放棄等をご検討の場合には、できるだけ実際の処理を行う前の段階でご相談ください。
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