児童ポルノ法違反とファイル共有ソフト

ファイル共有ソフト(Cabosなど)を利用して児童ポルノに該当する画像や動画をダウンロードした場合、ファイルの保存だけでなく、他の利用者への公開・共有によって児童ポルノ法違反に問われることがあります。

特に、ダウンロードしたファイルが自動的に共有対象となるソフトでは、本人が積極的にアップロードする操作をしていなくても、児童ポルノの公然陳列や提供が問題となる場合があります。

この記事で解説する内容

  • ファイル共有ソフトによる児童ポルノ法違反の成立
  • 児童ポルノの所持・提供・公然陳列の違いと法定刑
  • 逮捕・勾留された場合や在宅事件での弁護活動
目次

ファイル共有ソフトによる児童ポルノ法違反

児童ポルノ法は、18歳未満の児童について、法律に定められた性的な姿態を描写した写真や動画などの所持、提供、公然陳列等を一定の要件の下で処罰しています。

ファイル共有ソフトでは、利用者間でデータを送受信する仕組みが用いられます。そのため、本人が動画を視聴する目的でダウンロードしただけのつもりでも、他の利用者がアクセスできる状態になっている場合があります。

このような場合、問題となるのが児童ポルノ法7条6項の公然陳列や不特定・多数の者への提供です。

児童ポルノ法7条6項の法定刑

5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金、又はその併科

もっとも、ファイル共有ソフトを利用していたことや、児童ポルノに該当するファイルが保存されていたことだけで、当然に公然陳列罪が成立するわけではありません。実際の共有状態や本人の認識などを検討する必要があります。

児童ポルノの所持・提供・公然陳列の違い

児童ポルノ法では、行為の内容によって異なる罰則が定められています。

行為・条文法定刑
自己の性的好奇心を満たす目的での所持・保管(7条1項)1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金
児童ポルノの提供(7条2項)3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金
不特定・多数への提供、公然陳列(7条6項)5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金、又は併科

単純所持・保管については、自己の性的好奇心を満たす目的や、自らの意思に基づく所持・保管などが要件となります。単にインターネット上の画像を閲覧したというだけで、直ちに所持罪が成立するわけではありません。

一方、他の利用者がアクセスできる状態にした場合には、実際の公開方法や送受信状況によって、提供罪や公然陳列罪が問題となります。

なお、上記は現行法の法定刑です。2025年6月1日より前の行為については、行為時の法律や改正に伴う経過措置を確認する必要があります。

児童ポルノ法違反で争点となること

共有・公開状態の認識

ファイル共有ソフトを利用した事件では、本人がどのような操作を行い、共有機能についてどのように認識していたのかが重要です。

例えば、共有フォルダの設定、ソフトの動作、ファイルの保存場所、通信記録などを確認し、不特定多数の利用者がアクセスできる状態にあったのか、そのことを本人が認識していたのかなどを検討します。

画像・動画の内容と年齢の認識

画像や動画が法律上の児童ポルノに該当するかどうかも検討が必要です。児童ポルノ法は、18歳未満の人物が写っているすべての画像を一律に処罰対象としているわけではありません。

また、被写体の年齢に関する認識も、個別の事案で問題となることがあります。ただし、18歳未満であることを知らなかったという主張だけで、当然に処罰を免れるわけではありません。児童ポルノ法9条の適用関係も含め、具体的事情に応じた検討が必要です。

児童ポルノ法違反の弁護活動

児童ポルノ法違反の事件では、事実関係を争う場合と、事実を認めて処分の軽減を求める場合とで、弁護活動の方針が異なります。

1.事実関係に争いがある場合

共有機能の認識やファイルの保存状況、実際の公開行為などに争いがある場合には、捜査機関の主張と客観的な証拠を照らし合わせ、犯罪の成立要件を満たすか検討します。

犯罪の成立を裏付ける証拠が不十分である場合には、嫌疑不十分による不起訴処分を求めることが考えられます。

2.事実関係を認める場合

事実関係に争いがない場合には、事件の内容や本人の前科前歴、再犯防止に向けた取組などを踏まえて、起訴猶予などの不起訴処分や、事案に応じた寛大な処分を求める弁護活動が考えられます。

略式命令による罰金刑で事件が終了する場合もありますが、常に略式手続が選択されるわけではありません。公開された画像・動画の内容、数量、行為の態様などによって判断は異なります。

3.逮捕・勾留された場合

逮捕・勾留された場合には、早期に弁護士が接見し、本人から事情を聴取します。そのうえで、逃亡や証拠隠滅のおそれがないことなどを具体的に主張し、勾留を避けるための活動や、勾留決定に対する準抗告などを検討します。

児童ポルノ法違反の事件でも、逮捕されずに在宅で捜査が進められる場合があります。在宅事件についても、捜査への対応や今後の処分の見通しを検討することが重要です。

再犯防止に向けた取組

事実を認める事件では、再犯防止に向けた具体的な取組も重要となります。

違法な画像・動画を収集するに至った経緯やインターネットの利用状況を振り返り、必要に応じて専門機関への相談、生活環境の改善、家族による支援体制の整備などを検討します。

なお、捜査の対象となっているパソコンやデータについて、自己判断で削除・初期化などを行うと、証拠隠滅が疑われるおそれがあります。証拠の取扱いには注意が必要です。

児童ポルノ法違反の法律相談

児童ポルノ法違反で捜査を受けている場合、逮捕・勾留や今後の刑事処分について不安を感じることもあると思います。

とくに、ファイル共有ソフトを利用した事件では、ソフトの仕組みや共有設定、本人の認識などについて、個別の事情を確認することが重要です。

片岸法律事務所では、大阪市東住吉区を拠点として、刑事事件の法律相談や私選弁護に対応しています。児童ポルノ法違反の捜査を受けている方や、ご家族が逮捕された方は、ご相談ください。

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