保釈請求|身体拘束からの解放
逮捕・勾留されると、身体拘束が長期間に及ぶことがあります。
そこで、少しでも早く身体拘束から解放されるよう、事件の段階に応じた刑事弁護活動を行います。
具体的には、起訴前であれば勾留決定等に対する準抗告、不起訴(起訴猶予)を目指した被害弁償・示談交渉などを行い、起訴後も勾留が続く場合には保釈請求を検討します。
保釈請求とは
起訴後、被告人が勾留されている場合には、刑事訴訟法に基づき保釈を請求することができます。
保釈請求は起訴前にはできず、起訴後の勾留に対して行う手続です。
保釈が認められた場合には、裁判所が定めた保釈保証金を納付することなどを条件として勾留の執行が停止され、身体拘束から解放されます。
保釈には、一定の除外事由がなければ認められる権利保釈と、裁判所が事情を考慮して認める裁量保釈などがあります。
保釈を認めてもらうための弁護活動
保釈請求では、逃亡や証拠隠滅のおそれが低いことなどを具体的に裁判所へ説明します。
例えば、次のような事情を整理して保釈請求書や関係資料を提出します。
- 一定の住居があり、保釈後の生活場所が確保されていること
- 家族などによる監督が期待できること
- 仕事や学校など継続すべき社会生活があること
- 被害者や事件関係者と接触しないこと
- 証拠隠滅のおそれが低いこと
- 公判期日に確実に出頭すること
実務上は、親、配偶者、兄弟姉妹などに身元引受書を作成してもらい、保釈後の生活を監督することを裁判所に説明する場合があります。
もっとも、身元引受人は法律上すべての保釈請求で必須とされているものではありません。事件の内容や被告人の生活状況に応じて、どのような資料を準備するかを検討します。
一度却下されても再度保釈請求をすることがあります
一度保釈請求が却下された場合でも、その後に事情が変化すれば、再度保釈請求をすることがあります。
例えば、被害者や重要な証人の尋問が終了した場合や、重要な証拠の取調べが終了した場合には、証拠隠滅のおそれについて当初とは事情が変わることがあります。
そのような場合には、新たな事情を踏まえて改めて保釈を求めることを検討します。
保釈保証金の金額は?
保釈が認められる場合には、裁判所が保釈保証金の金額を定めます。
保証金額は一律ではなく、犯罪の性質や情状、証拠の状況、被告人の性格や資産などを考慮し、被告人の出頭を確保するために相当な金額として決められます。
したがって、「保釈金はいくら」と一律に決まっているものではなく、事件の内容や被告人の経済状況によって異なります。
裁判所が定めた保証金を納付した後、保釈が執行されます。
保釈保証金は返還されるのか
保釈保証金は罰金ではありません。
被告人が公判期日に出頭し、保釈条件を守り、保証金を没取される事情がなければ、保釈が終了した後、原則として返還されます。
一方、正当な理由なく裁判に出頭しない、逃亡する、証拠隠滅を図る、被害者等に接触するなど、保釈の取消事由や条件違反がある場合には、保釈が取り消され、保証金の全部または一部が没取されることがあります。
保釈保証金を準備することが難しい場合
保釈保証金としてまとまった金銭を準備することが難しい場合には、外部機関による保釈保証金の立替え・保証制度を利用できる場合があります。
利用条件や手数料等は制度によって異なりますので、利用する場合にはその内容を確認する必要があります。
保釈中に実刑判決を受けた場合
保釈中の被告人について、第1審で拘禁刑の実刑判決が言い渡された場合には、それまでの保釈は効力を失います。
そのため、判決の内容によっては、その場で身柄を収容されることになります。
実刑判決となる可能性がある事件では、判決期日に収容される可能性も踏まえ、必要な身の回り品などについて事前に弁護人と確認しておくことが考えられます。
実刑判決後の再保釈
第1審で実刑判決を受けた後、控訴をして再度保釈を請求することもできます。
もっとも、実刑判決後には権利保釈の規定は適用されず、裁判所の裁量による保釈が問題となります。
現在の刑事訴訟法では、拘禁刑以上の判決が言い渡された後の保釈については、身体拘束によって受ける不利益が著しく高い場合など、通常の起訴後の保釈より厳しい要件が定められています。ただし、逃亡のおそれの程度が高くないと認めるに足りる事情がある場合には、この限りではありません。
再保釈が認められる場合には、保釈保証金についても改めて裁判所が金額を定めるため、最初の保釈と同額になるとは限りません。
保釈請求以外の身体拘束からの解放に向けた活動
保釈請求ができるのは起訴後ですが、起訴前にも身体拘束からの解放に向けた弁護活動があります。
勾留に対する準抗告
被疑者の勾留期間は原則として10日間であり、やむを得ない事情がある場合には、検察官の請求により、さらに10日間以内の延長が認められることがあります。
裁判官による勾留決定や勾留期間延長の決定について不服がある場合には、事案に応じて準抗告を申し立て、勾留の必要性などを争うことがあります。
保釈とは異なり、準抗告は起訴前の被疑者段階でも利用することができます。
接見等禁止に対する準抗告
否認事件や共犯者がいる事件などでは、勾留に加えて、弁護人以外の者との面会や手紙の授受などを制限する接見等禁止決定がされる場合があります。
この場合、家族との面会まで一律に制限する必要がないと考えられるときには、準抗告等によって接見等禁止決定の取消しや一部解除を求めることがあります。
不起訴(起訴猶予)を目指す弁護活動
勾留中であっても、検察官が捜査の結果、不起訴処分とすれば、別件による身体拘束などがない限り、通常は釈放されます。
事実関係に争いがない事件では、犯罪の内容、前科・前歴、被害の程度、被害回復の状況などを踏まえて、起訴猶予を含む不起訴処分を求める弁護活動を行うことがあります。
具体的には、事件に応じて次のような対応を検討します。
- 被害者への被害弁償・示談交渉
- 謝罪文や反省文の作成
- 家族による指導・監督体制の確保
- 居住先や就業先の確保
- 再犯防止のための生活環境の調整
略式手続となる場合
事実関係に争いがなく、罰金または科料が相当と判断される事件では、検察官が簡易裁判所に略式命令を請求する場合があります。
略式命令は、原則として公開の公判を開かず書面によって審理し、100万円以下の罰金または科料を科す手続です。被疑者が略式手続によることに異議がないことも必要です。
保釈、準抗告、不起訴に向けた活動など、身体拘束からの解放を求める方法は、事件が起訴前なのか起訴後なのかによって異なります。現在の手続段階を確認したうえで、その時点で利用できる方法を検討することが重要です。
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