少年鑑別所での収容期間は?

未成年者が逮捕された場合、その後の手続はどうなるのでしょうか。

とくにご家族の方にとっては、「いつ少年が帰宅できるのか?」という不安が大きいと思います。

ここでは、14歳以上の少年の場合を前提として、逮捕後の手続から家庭裁判所での審判まで、少年鑑別所でどの程度の期間を過ごすことになるのかを説明します。

目次

少年事件の身体拘束|大まかな流れ

① 捜査段階

勾留は原則10日間
必要がある場合には、さらに10日間延長されることがあります。

② 家庭裁判所へ送致

観護措置の判断
少年鑑別所に収容して調査・鑑別を続けるかどうかが判断されます。

③ 少年審判

3~4週間程度で審判となることが多い
保護観察、少年院送致、不処分などの判断がなされます。

一日でも早く戻ってきてほしい!― ご家族の方へ

少年が少年鑑別所に収容された場合、ご家族としては、一刻も早く自宅に帰ってきてほしいと考えると思います。実際に、当職もそのような相談をよく受けます。

捜査段階では勾留に対する準抗告などにより身体拘束からの解放を求めることができます。また、家庭裁判所に送致されて観護措置がとられた後も、観護措置決定に対する異議申立てなどの制度があります。

このような法律上の手続により少年が早期に自宅へ戻ることができる場合もあります。しかし、実際には、身体拘束からの早期解放が容易に認められるとは限りません。


早く帰宅することだけが、少年のためになるとは限りません

実務では、捜査段階で勾留に対する準抗告が認められるなどして身体拘束から解放され、自宅に戻り、その後は在宅で少年審判を受ける予定となることがあります。

しかし、そのように自宅へ戻った後、新たな非行に及んでしまい、結果として少年院送致などの施設収容となったケースもあります。

そのため当職は、ご家族の「一日でも早く帰ってきてほしい」というお気持ちを踏まえながらも、事件の内容や少年の状況によっては、少年鑑別所で過ごす3~4週間を、少年自身が事件を反省し、これまでの生活や自分自身を改めて見つめ直す期間として有効に使うという考え方もお伝えしています。

早期の帰宅だけを目標とするのではなく、少年鑑別所での時間を今後の更生につなげ、審判において保護観察となり、自宅に戻って生活を立て直すことを目標に気持ちを切り替えることも、一つの考え方だと思います。

「早く出るために何をするか」だけではなく、「自宅に戻った後、同じことを繰り返さないために、この期間をどう使うか」。
少年事件では、その視点も大切にしたいと当職は考えています。

14歳未満の場合は手続が異なります。
14歳未満の少年については、児童福祉法上の手続が関係するなど、14歳以上の少年とは手続の流れが大きく異なります。

逮捕された後の少年事件の流れ

手続の大まかな流れは、捜査機関による手続を経て、事件が家庭裁判所へ送致され、その後、家庭裁判所で調査・審判が行われるというものです。

捜査段階|勾留は原則10日、延長されるとさらに10日

勾留期間は、原則10日間です。事件の内容によっては、さらに10日間延長される場合があります。

少年については、通常の勾留のほか、「勾留に代わる観護の措置」により少年鑑別所に収容される場合があります。また、勾留の場合でも、少年鑑別所が勾留場所とされることがあります。

この期間に弁護人を選任することは有益であると思います。早い段階から少年との信頼関係を構築し、家族環境の調整、被害者がいる事件では示談交渉などを進めることができるからです。

捜査が終了し、事件が家庭裁判所へ送致されると、その後は少年審判に向けた家庭裁判所での手続へ移ります。

家庭裁判所へ送致|観護措置の判断

家庭裁判所に送致された段階で、少年を少年鑑別所に収容する観護措置をとるかどうかが判断されます。

つまり、少年鑑別所での収容を続けながら調査・鑑別を行うのか、それとも少年を帰宅させ、在宅の状態で手続を進めていくのかという判断です。

少年鑑別所に送致する観護措置がとられた場合、少年鑑別所で、面接、心理検査、行動観察などを通じて少年の心身の状況や非行の原因などについて鑑別が行われます。

少年鑑別所での収容期間はどのくらい?

少年法上、観護措置による少年鑑別所への収容期間は原則2週間です。特に継続の必要がある場合には更新することができ、通常は1回更新されて、おおむね3~4週間程度で審判を迎えることが多くなっています。

一定の事件について、非行事実の認定のために証拠調べが必要な場合などには、さらに更新され、最長8週間となる場合があります。

ご家族から見ると同じ「少年鑑別所」でも、手続は変わっています

ご家族の方からすると、捜査段階でも家庭裁判所送致後でも少年が少年鑑別所にいる場合には、外から見て大きな違いを感じないかもしれません。

しかし、家庭裁判所へ送致されて観護措置がとられた後は、少年審判に向けた鑑別が行われます。面接や心理検査、日々の生活状況の観察などが行われ、その結果は家庭裁判所に報告され、少年の処分を判断するための資料となります。

その意味でも、観護措置後の少年鑑別所での生活は、単に身体を拘束されている期間というだけではありません。

少年審判

観護措置がとられた事件では、当職の経験でも、家庭裁判所へ送致されてから3~4週間程度で審判を迎えることが多いと感じています。

審判の時間は事件の内容にもよりますが、1時間程度となることが多いと思います。

審判では、裁判官から少年に対して、事件の内容、事件についてどのように考えているか、反省、再非行を防止するために今後どのように生活するのかなどが質問されます。

父母が審判に出席している場合には、両親に対して、今後どのように少年を監督していくのかなどが質問されることもあります。

審判での処遇としては、保護観察、試験観察、少年院送致などがあります。また、調査の結果、保護処分を行う必要がないと判断されれば、不処分となる場合もあります。

もちろん、ここまで説明したのは一般的な手続の流れです。

捜査段階で勾留に対する準抗告が認められた場合や、家庭裁判所への送致後に観護措置がとられなかった場合、観護措置決定に対する異議申立てなどにより身体拘束が解かれた場合には、少年鑑別所での収容期間は短くなります。

逆に、新たな事件による逮捕などがあれば、身体拘束の期間が長くなることがあります。

少年は、いつ帰宅できるのでしょうか?

少年事件の家庭裁判所での手続には、成人の刑事裁判における「保釈」と同じ制度はありません。

もっとも、だからといって審判まで必ず少年鑑別所にいなければならないというわけではありません。

捜査段階では、勾留に対する準抗告などにより身体拘束を争うことができます。家庭裁判所へ送致された後には、観護措置をとらないよう意見を述べたり、観護措置決定に対して異議を申し立てたりすることも考えられます。

ただし、これらの申立てが認められるかどうかは、事件の内容、少年の生活環境、逃亡や証拠隠滅のおそれ、少年を保護する必要性など、個々の事情によって判断されます。

そのため、身体拘束からの早期解放を求めることが適切なのか、それとも少年鑑別所での期間を審判に向けて有効に使う方が少年本人のためになるのかについても、事件ごとに検討する必要があると考えています。

付添人(弁護士)ができること

弁護士が付添人として選任されることにより、少年と十分にコミュニケーションをとる時間を確保することができます。

付添人との面会には、一般面会のような時間・回数の制限がなく、原則として少年鑑別所の職員の立会いもありません。そのため、少年と落ち着いて話をすることができます。

また、家庭裁判所調査官と付添人が面談することにより、少年が抱えている問題点を把握し、その改善に向けた活動を進めることができます。

例えば、家族と付添人とが話し合い、少年が自宅に戻った後の生活について、夜間外出、交友関係、学校生活などのルールを定め、それを家庭裁判所に報告するといった活動が考えられます。

被害者がいる事件では、被害者との示談交渉を進めることも付添人活動の一つです。少年本人や家族が直接交渉するよりも、第三者である弁護士を介して交渉する方が円滑に進む場合があります。

当事務所の付添人活動

当職は、過去に担当した少年事件の経験を踏まえ、少年本人との面会だけでなく、ご家族とも相談しながら、少年が審判までの期間をどのように過ごすか、帰宅後の生活環境をどのように整えるかを考えていきます。

少年鑑別所に収容された場合、どうしても「何日で帰ることができるのか」に目が向きます。しかし、少年事件では、審判までの数週間を少年自身がどのように過ごしたかも大切です。

ご家族と相談しながら、少年が事件を振り返り、今後同じことを繰り返さないための環境を整えることを意識して付添人活動を行っています。

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