DV法に基づく保護命令の申立て

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DV法に基づく保護命令の申立てについて

配偶者等からの暴力被害に悩む場合、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(以下「DV法」といいます。)に基づき、裁判所に保護命令を申し立てることができます。

保護命令とは、被害者からの申立てにより、裁判所が相手方に対して、被害者へのつきまといや住居・勤務先等の付近のはいかい、電話やSNSによる一定の連絡などを禁止したり、同居している住居からの退去を命じたりする制度です。

また、一定の要件のもとでは、被害者と同居している子どもや親族等への接近禁止などを求めることもできます。

このページでは、DV法に基づく保護命令の申立要件、命令の内容、手続などについて説明します。

保護命令の申立要件

被害者への接近禁止命令については、配偶者から身体に対する暴力を受けた場合のほか、生命、身体、自由、名誉または財産に対して害を加える旨の脅迫を受けた場合についても、所定の要件を満たせば申立てをすることができます。

そして、さらに身体に対する暴力やこれらの脅迫を受けることによって、生命または心身に重大な危害を受けるおそれが大きいことが必要とされています。

DV法は改正され、身体に対する暴力だけでなく、一定の脅迫によって重い精神的被害を受けるおそれがある場合についても、接近禁止命令等の対象となり得る制度となっています。

ただし、後記の退去等命令については要件が異なり、身体に対する暴力または生命・身体に対する脅迫を受け、さらに身体に対する暴力を受けることによって生命または身体に重大な危害を受けるおそれが大きいことが必要となります。

保護命令の対象となる相手方

保護命令の対象となる「配偶者」には、法律上の婚姻関係にある配偶者だけでなく、婚姻の届出をしていない事実婚の相手方も含まれます。

また、婚姻関係における共同生活に類する共同生活を営んでいる、生活の本拠を共にする交際相手から暴力等を受けた場合についても、DV法による保護命令の対象となることがあります。

暴力等を受けた後に離婚した場合や、生活の本拠を共にする交際関係を解消した場合であっても、その後も引き続き相手方から暴力等を受け、法律上の要件を満たす場合には、保護命令を申し立てることができます。

保護命令の申立先

保護命令の申立ては、次のいずれかの地を管轄する地方裁判所またはその支部に対して行います。

  • 相手方の住所地
  • 申立人の住所または居所
  • 身体に対する暴力等が行われた地

保護命令ではどのようなことを求めることができるか

現在のDV法による保護命令には、主として次の6種類があります。

1 被害者への接近禁止命令

相手方に対し、1年間、被害者の身辺につきまとったり、被害者の住居、勤務先その他通常所在する場所の付近をはいかいしたりすることを禁止する命令です。

2 被害者への電話等禁止命令

被害者への接近禁止命令の期間中、相手方に対し、面会の要求、無言電話、緊急の場合を除く連続した電話や文書の送付、電子メール・SNS等の送信、深夜早朝の一定の連絡などを禁止する命令です。

そのほか、行動を監視していると思わせるような事項を告げること、著しく粗野または乱暴な言動、名誉や性的羞恥心を害する事項の告知等、GPS等によって承諾なく位置情報を取得する行為なども禁止の対象となります。

3 子どもへの接近禁止命令

一定の要件のもと、被害者と同居している子どもについて、相手方がその身辺につきまとったり、子どもが通常所在する場所の付近をはいかいしたりすることを禁止する命令です。

子どもが15歳以上の場合には、原則としてその子どもの同意が必要となります。

4 子どもへの電話等禁止命令

一定の要件のもと、被害者と同居している子どもに対して、相手方が電話、文書、電子メール・SNS等による一定の行為や、GPS等による位置情報の取得などをすることを禁止する命令です。

5 親族等への接近禁止命令

相手方が被害者の親族等に接近することによって、被害者が相手方との面会を余儀なくされるなど、被害者の生命または心身に対する危険を防止するために必要がある場合には、一定の要件のもとで親族等への接近禁止命令を求めることができます。

6 退去等命令

被害者と相手方が生活の本拠を共にしている場合には、相手方に対して、その住居から退去すること及び住居の付近をはいかいしないことを命じる退去等命令を求めることができます。

退去等命令の期間は原則として2か月間です。ただし、その建物の所有者または賃借人が申立人のみである場合には、申立てにより6か月間の退去等命令が認められることがあります。

保護命令に違反した場合

保護命令は単なる警告ではありません。

相手方が保護命令に違反した場合には、2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金に処せられる可能性があります。

保護命令の申立て前の相談

保護命令を申し立てる場合には、原則として、申立ての前に、相手方から暴力等を受けた状況その他申立ての基礎となる事情について、配偶者暴力相談支援センターまたは警察署に相談しておく必要があります。

これらの機関に事前相談をしていない場合には、公証人役場において、申立ての基礎となる事情について宣誓供述書を作成する方法があります。

また、子どもへの接近禁止命令・電話等禁止命令や親族等への接近禁止命令も求める場合には、それらの命令が必要となる事情についても、事前の相談等の際に具体的に説明しておくことが重要です。

保護命令が発令されるまでの手続

保護命令の申立てがされると、裁判所は速やかに手続を進めます。

申立書が受理された後、申立人本人または代理人から、暴力や脅迫の具体的な状況、現在の危険性などについて事情を聴かれることになります。その後、原則として、相手方が立ち会うことのできる審尋や口頭弁論の期日が設けられます。

もっとも、相手方の審尋等を経ることによって保護命令の目的を達することができないほど緊急性が高い場合には、例外的に、相手方の審尋等を経ずに保護命令が発令されることもあります。

審理の結果、保護命令の要件を満たしていると裁判所が判断した場合には、保護命令が発令されます。

審尋や申立ての際に重要となる資料

申立人としては、どのような暴力・脅迫等を受けてきたのか、また、今後どのような危険があるのかについて、具体的に説明する必要があります。

その裏付けとなる資料としては、例えば次のようなものが考えられます。

  • 診断書
  • けがの写真
  • 暴力や脅迫の状況を撮影した動画
  • 会話等の録音データ
  • メールやSNS等の送受信記録
  • 警察や配偶者暴力相談支援センターへの相談記録
  • 被害状況を具体的に記載した陳述書

どの資料が必要となるかは事案によって異なります。特に精神的な被害を理由として接近禁止命令等を求める場合には、医師の診断書が重要となることがあります。

申立てに際して考慮すべきこと

保護命令の申立てを検討する事案では、相手方との間に強い緊張関係があり、身体・生命等への危険について慎重に考える必要がある場合があります。

相手方に現在の居場所を知られないようにする必要があるケースや、警察、配偶者暴力相談支援センター、民間シェルターその他の関係機関と連携した対応が必要となるケースもあります。

保護命令は、申立書を提出すれば当然に発令されるものではありません。これまでの暴力や脅迫の内容、証拠の有無、現在の危険性、求める保護命令の種類などを整理したうえで申立てを行うことが重要です。

保護命令について弁護士に相談する場合

保護命令の申立てでは、過去にどのような暴力や脅迫があったのかだけでなく、現在どの程度の危険があるのか、それをどのような資料によって裏付けることができるのかが重要となります。

また、被害者への接近禁止命令、電話等禁止命令、子どもや親族等への接近禁止命令、退去等命令では、それぞれ要件が異なります。

具体的な事情を確認し、必要となる保護命令の内容や証拠を整理したうえで手続を進めることが大切です。

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