少年鑑別所での面会(弁護士の場合:初期段階)

少年事件では、事件そのものへの対応だけでなく、少年本人とどのように向き合い、どのような変化につなげていくかも大切だと考えています。

少年事件で初めて少年と面会するとき、私はできるだけ敬語を使い、丁寧に話すことを心がけています。

相手は未成年ではありますが、一人の人間です。

まずは、その少年を一人の人間として尊重して接したいと考えているからです。

特に、学校生活などで問題を抱えてきた少年の中には、周囲の大人から呼び捨てにされたり、強い言葉で叱責されたりすることに慣れてしまっている少年もいるのではないかと思います。

弁護士まで同じような態度で接してしまえば、少年が自分の考えや気持ちを率直に話すことは、より難しくなってしまいます。

最初の面会では、事件について一方的に問い詰めたり、すぐに反省を求めたりするのではなく、まず少年の話を聞くことを大切にしています。

目次

初回面会での少年の反応はさまざまです

少年事件で接する少年の反応は、一人ひとり違います。

「自分は少年院に行くのか」ということばかりを気にしている少年もいます。

警察官の対応について強い不満を持っている少年もいます。

「自分だけが悪いわけではない」

「相手にも原因がある」

と考え、被害者や周囲の人に責任があると話す少年もいます。

しかし、そのような少年に対して、最初から頭ごなしに、

「そんな考え方では駄目だ」
「もっと反省しなさい」

と説諭しても、その言葉はなかなか少年の中には入っていかないように思います。

私は、少年の話を聞きながら、何度か面会を重ね、まず信頼関係をつくることが大切だと考えています。

そのうえで、事件について一緒に振り返りながら、少しずつ考えてもらうようにしています。

  • 相手はどう感じたと思うか
  • なぜこのようなことになったのか
  • これから同じことを繰り返さないためにはどうすればよいか

すぐに答えを求めるのではなく、面会を重ねながら、一緒に考えていくことを大切にしています。

時間の経過とともに少年の考えが変わることがあります

最初の面会では、事件や警察への不満ばかりを話していた少年でも、時間が経つにつれて、自分自身の行動について考えるようになることがあります。

何度も話をしているうちに、

「自分にも悪いところがあった」

「被害者には申し訳ないことをした」

「家族にも迷惑をかけた」

という言葉が出てくるようになります。

少年事件では、このような少年自身の考え方の変化も大切だと考えています。

反省文を書いてみることを勧めることもあります

私は少年に対し、

「自分の考えていることを、文章に書いてみたらどうか」

と提案することがあります。

もちろん、無理に書かせるものではありません。

しかし実際には、多くの少年が反省文を書くことに挑戦します。

中には、一度だけではなく、毎日のように自分の考えを書き続ける少年もいます。

最初は乱雑な字で、短い文章しか書けなかった少年が、次第に文章の量を増やしていくこともあります。

分からない漢字を辞書で調べ、一字一字丁寧に書くようになる少年もいます。

そうした反省文を読んでいると、

「最初の頃と考え方が変わってきた」

と感じることがあります。

反省文は、単に「反省しています」と家庭裁判所に示すためだけのものではないと考えています。

文章にすることで、少年自身が事件を振り返り、自分の行動や被害者のこと、これからの生活について考える機会にもなります。

また、書き続けた反省文には、少年の考え方がどのように変わってきたのか、その過程が表れることがあります。

少年の変化を家庭裁判所に伝える

少年審判では、事件そのものだけでなく、少年が事件後どのように考え、どのように変化しているのかも重要になります。

面会の中で確認していること

  • 少年が事件をどのように受け止めているか
  • 被害者についてどのように考えているか
  • 家族との関係がどのように変化したか
  • 事件の原因についてどのように考えているか
  • 今後どのように生活していこうとしているか

少年が書いた反省文については、家庭裁判所に提出する方針としています。

また、面会を重ねる中で見られた少年の変化について、弁護士が付添人報告書として整理し、審判前に家庭裁判所へ提出することもあります。

反省文を資料として添付し、最初の面会時から少年の考え方がどのように変わってきたのかを、できる限り具体的に伝えるようにしています。

最初の面会では怒りや不満ばかりだった少年が、何週間か後には、自分自身の行動やこれからの生活について真剣に考えるようになっていることがあります。

そのような少年の変化を家庭裁判所に伝えることも、少年事件における弁護士・付添人の重要な役割の一つだと考えています。

少年事件では、時間をかけて向き合うことを大切にしています

少年事件では、最初から少年に「正しい答え」を求めても、必ずしもうまくいくとは限りません。

まず、少年の話を聞くこと。

一人の人間として尊重すること。

何度も面会を重ねながら、少年自身が事件やこれからの人生について考えられるように働きかけていくこと。

私は、そのような関わり方を大切にしながら、少年事件の付添人活動を行っています。

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